国際法学会のホームページへ、ようこそ!

代表理事 岩沢雄司

 国際法学会のホームページを訪れてくださり、どうもありがとうございます。このホームページは、国際法学会会員に対する情報提供及び会員相互の情報交換の場であるとともに、非会員の皆さまに対する情報発信の場でもあります。

 国際法学会は、国際法の研究を促進することや国際知識の普及を図ることを目的として、山田三良らの尽力によって1897年に創設された、法律学の分野では日本で最も古い学会です。アメリカ国際法学会(1906年)の10年ほど前に創設されていて、一国の国際法学会としては世界で最も古い学会の1つです。学会誌の国際法雑誌(後に国際法外交雑誌と改題)は、1902年に創刊され、一国の国際法専門誌としてはフランス(1874年)、ベルギー(1899年)に次ぐ歴史をもちます。

 草創期に当学会が行った重要な活動に、1920年代後半の国際連盟法典編纂事業に関する研究と報告があります。国際連盟において当学会の貢献は高く評価されました。学会が創設されて以来120年近い長い歴史の中で、日本は条約改正、日露戦争、第一次世界大戦、国際連盟脱退、第二次世界大戦などの多くの困難を経験しました。現在も日本は、領土、海洋境界画定、安全保障、環境、人権、貿易、投資など様々な分野で多くの国際法問題に直面しています。2010年にオーストラリアが日本を訴えた南極海捕鯨事件で、日本は歴史上初めて国際司法裁判所の訴訟当事国になりました。2014年に下された判決は日本にとって厳しい内容を含んでいましたが、日本は、「国際社会の基礎である国際法秩序及び法の支配を重視する国家として、判決に従う」と述べました。当学会は、国際社会に山積する多くの重要課題や日本が直面する問題に取り組み、その解明や解決に貢献していきたいと考えています。

 当学会は、創設の経緯から、国際法、国際私法、国際政治・外交史の三分野にまたがる会員を擁します。大学やその他の研究機関に所属する研究者、外務省などの政府職員、弁護士などの実務家、大学院生など様々な人を含みます。現在の会員数は900名あまりで、一国の国際法学会としては世界有数の規模を誇ります。

 2012年に当学会は、それまでの財団法人国際法学会に代わり、一般財団法人国際法学会として新たな出発をしました。それに伴って、各種規程の整備、評議員会・理事会・各種委員会といった機構の整備など、学会の管理運営の仕組みを見直しました。国際法の研究振興や普及のために、多くの新規事業も開始しました。27年にわたり国際司法裁判所裁判官を務めた小田滋先生の篤志による、小田滋賞と小田滋記念講演はその例です。小田滋賞は、国際法、国際私法、国際政治・外交史の研究を普及し、若手研究者の育成を促進するために、優秀な論文に対して授与するものです。小田滋記念講演は、研究大会において、外国の国際法学者とともに学会員が英語で報告や討論を行うものです。また、エキスパート・コメントを学会ホームページで公表する活動も始めました。これは政策立案者、ジャーナリストなど世の中の方が現在高い関心をもつテーマについて、学会員が専門家の立場からその背景を明らかにし、学界での議論を正確にバランスよく、わかりやすく解説するものです。さらに、日弁連との協力による社会連携事業や、外務省との共催によるアジア・カップ国際法模擬裁判の開催も行っています。そして、研究振興部を新設し、研究教育上のサービスを提供する事業も実施しています。

 研究大会は、以前は、春に1日秋に2日、会員が所属する各大学で開催していましたが、2013年以降は、秋に1回3日間、各地の会議場でコンベンション方式によって開催しています。研究大会では、公募報告制度を採用し公平な報告機会を確保するとともに、企画の充実に努めています。歴史ある国際法外交雑誌の質の向上にも、引き続き取り組んでいます。さらに、国際交流にも力を入れています。2006年に開始された日・米・加・豪NZの四学会の協力は、国際会議を隔年に持ち回りで開催し、若手に報告をしてもらうやり方で続けており、2018年には第7回国際会議を日本で開く予定です。また、大韓国際法学会(韓国)との交流にも努めています。

 当学会は、これからも引き続き、国際法の研究振興や普及のための活動や事業に尽力してまいります。ご意見やご批判がありましたらお寄せいただけましたら幸甚に存じます。

2016年10月

一般財団法人 国際法学会 代表理事
岩沢 雄司